
法人でパソコンを処分する際、「データが完全に消去されているか不安」「どこに依頼すれば安全に処分できるのかわからない」といったような悩みを抱えていませんか?特に企業の機密情報や個人情報を扱うパソコンの処分は、情報漏洩のリスクを考えると慎重に行う必要があります。
本記事では、法人向けのパソコン処分方法について、安全なデータ消去のやり方から信頼できる処分場所まで詳しく解説します。パソコンの廃棄・処分にお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。
法人がパソコンを処分する際に注意すべきポイント
法人がパソコンを処分する際には、個人とは異なる多くの注意点があります。企業の重要な情報資産を守り、法的なリスクを回避するためには、適切な手順と専門知識が不可欠です。ここでは、特に重要な三つのポイントについて詳しく解説します。
企業の機密情報・個人情報の漏洩リスク
企業が使用しているパソコンには、顧客情報、従業員の個人情報、取引先情報、開発データ、営業戦略、財務データなど、多岐にわたる機密情報や個人情報が保存されています。
これらの情報が外部に漏洩した場合、企業の社会的信用失墜、損害賠償請求、業務停止命令といった深刻な事態を招く可能性があります。
特に、個人情報保護法や不正競争防止法といった法律に基づき、企業は情報管理に厳格な責任を負います。データ消去が不十分なままパソコンを処分することは、これらの法律に違反する行為となり、法的責任を問われるリスクがあるため、情報漏洩対策は最優先で考慮すべき重要事項です。
セキュリティポリシーに準拠した処分の必要性
多くの企業では、情報セキュリティを確保するために独自のセキュリティポリシーや情報管理規定を策定しています。パソコンの処分も、このセキュリティポリシーに則って厳格に実施される必要があります。
ポリシーに準拠した処分は、情報セキュリティ体制の維持だけでなく、内部統制の強化や監査対応においても不可欠です。処分プロセスを明確化し、担当者の責任範囲を定め、記録を残すことで、万が一の事態にも迅速に対応できる体制を整えることが求められます。
法人と個人のパソコン処分の違い
法人と個人では、パソコン処分の目的、規模、法的義務、選択できる方法に大きな違いがあります。個人が主にプライバシー保護を目的とするのに対し、法人は企業の社会的責任、法的責任、情報資産の保護という側面が加わります。
また、法人は大量のパソコンを定期的に処分するケースが多く、これらは産業廃棄物に分類されます。そのため、自治体での回収が困難な場合が多く、産業廃棄物処理法に基づき、適切な許可を持つ専門業者への委託が義務付けられています。データ消去の確実性や証明書の有無など、専門業者に求める要件も個人より厳しくなります。
パソコンのデータ消去方法の種類と特徴
パソコンを処分する上で最も重要な工程の一つが、内蔵されているストレージ(HDDやSSD)に記録されたデータの消去です。不適切なデータ消去は、企業の機密情報や個人情報の漏洩に直結するリスクがあるため、確実にデータが復元できない状態にする必要があります。ここでは、主なデータ消去方法とその特徴を解説します。
ソフトウェアによるデータ消去
データ消去ソフトウェアを使用する方法は、既存のデータを無意味なデータ(ゼロやランダムな文字列)で複数回上書きすることで、元のデータを復元不可能にする手法です。パソコンを再利用する可能性がある場合や、比較的低コストでデータ消去を行いたい場合に選択されます。
この方法には、米国国防総省規格(DoD 5220.22-M)やNIST SP 800-88 Rev.1などの国際的な消去規格が存在し、これらの規格に準拠したソフトウェアを用いることで、高いセキュリティレベルを確保できます。しかし、ソフトウェアによる消去は、故障したストレージや一部の特殊な記憶媒体には適用できない場合があるため注意が必要です。
物理破壊によるデータ消去
物理破壊は、ストレージそのものを物理的に破壊することで、記録されたデータを読み取り不可能にする最も確実な方法の一つです。ドリルで穴を開ける、ハンマーで叩き潰す、専用のHDDクラッシャーで粉砕するといった手法があります。特に、HDDやSSDの内部にあるデータ記録面やチップを完全に破壊することが重要です。
この方法は、データが確実に復元できなくなるという点で高い信頼性がありますが、破壊されたストレージは再利用できません。また、破壊作業には専門的な工具や機器が必要となる場合が多く、破片の飛散や騒音など、作業に伴うリスクも考慮する必要があります。そのため、多くの企業では専門業者に依頼することが一般的です。
電磁消去によるデータ消去
電磁消去(デガウス)は、強力な磁気を照射する専用装置(デガウザー)を用いて、磁気記録媒体(主にHDD)の磁気データを瞬時に破壊・消去する方法です。データが記録されている磁性体を完全に無効化することで、データの読み取りを不可能にします。
この方法は、短時間で大量のHDDを処理できるという利点があり、物理的な破壊を伴わないため、HDD以外のPC本体やケースは再利用できる可能性があります。しかし、磁気記録方式ではないSSDやUSBメモリ、SDカードなどのフラッシュメモリには効果がありません。また、デガウザーは専門的な機器であり、導入コストや運用コストがかかるため、専門業者に依頼するのが現実的です。
複数の方法を組み合わせた徹底的なデータ消去
最も高いセキュリティレベルを求める場合や、極めて重要な機密情報を扱うパソコンを処分する際には、複数のデータ消去方法を組み合わせることが推奨されます。例えば、まずソフトウェアによるデータ消去を行い、その後さらに物理破壊や電磁消去(HDDの場合)を実施するといった複合的な手法です。
このアプローチにより、単一の方法では対応しきれない潜在的なリスクを排除し、データ漏洩のリスクを限りなくゼロに近づけることができます。多くの専門業者では、このような複合的なデータ消去サービスを提供しており、企業のセキュリティポリシーに合わせた最適な方法を提案してくれます。
法人向けパソコン処分の方法
法人がパソコンを処分する方法は多岐にわたりますが、データセキュリティと法令遵守の観点から、信頼できる選択肢を選ぶことが重要です。ここでは、主な処分方法とその特徴について解説します。
専門業者による回収サービス
多くの法人にとって最も現実的で安全な選択肢が、専門のパソコン処分業者による回収サービスです。データ消去から回収、リサイクルまで一貫して対応してくれるため、手間なく安心して処分を進められます。
訪問回収サービス
訪問回収サービスは、業者が指定された場所まで直接パソコンを引き取りに来てくれるサービスです。大量のパソコンを処分する場合や、自社で梱包・運搬が難しい場合に特に便利です。現地でのデータ消去作業に対応している業者もあり、目の前でデータが消去される様子を確認できるため、セキュリティ面での安心感が高まります。
宅配回収サービス
宅配回収サービスは、梱包したパソコンを業者に送付することで処分する方法です。比較的少量のパソコンを処分する場合や、手軽に処分したい場合に適しています。多くの場合、送料や処分費用が訪問回収よりも安価に設定されていることが多く、コストを抑えたい法人にもおすすめです。ただし、梱包作業は自社で行う必要があります。
持込による処分
専門業者の拠点や提携するリサイクルセンターに、自社でパソコンを持ち込んで処分する方法です。運搬の手間はかかりますが、費用を抑えられる場合があります。事前に予約が必要な場合や、持ち込み可能な時間帯が限られている場合があるため、利用前に確認が必要です。
メーカーによる回収サービス
一部のパソコンメーカーは、法人向けの回収サービスを提供しています。PCリサイクルマークが付いている製品は、メーカーが回収・リサイクルを行うことが義務付けられていますが、これは主に家庭用パソコンが対象です。
しかし、法人向けに独自の回収プログラムや、提携業者と連携した回収サービスを提供しているメーカーもあります。利用を検討する際は、対象製品や回収費用、データ消去の有無などをメーカーに直接問い合わせて確認しましょう。
自治体での処分(法人は対象外の場合が多い)
法人のパソコンは、原則として「産業廃棄物」として扱われます。そのため、家庭ごみとして回収される自治体の粗大ごみや不燃ごみ、小型家電回収ボックスなどでは処分できません。
自治体の回収サービスは、あくまで一般家庭から排出されるごみが対象であり、法人が利用することは不法投棄とみなされるリスクがあります。法人がパソコンを処分する際は、必ず産業廃棄物処理の許可を持つ専門業者を利用するか、メーカーの回収サービスを利用してください。
法人におすすめのパソコン処分業者の選び方
法人がパソコンを処分する際、信頼できる業者を選ぶことは、情報漏洩のリスクを最小限に抑え、適切な資産管理を行う上で非常に重要です。ここでは、業者選定時に確認すべきポイントを解説します。
セキュリティ体制の確認ポイント
企業の機密情報や個人情報が保存されたパソコンの処分を委託する以上、業者のセキュリティ体制は最重要視すべき項目です。具体的には、以下の点を確認しましょう。
・データ消去作業を行う施設への入退室管理が徹底されているか
・監視カメラの設置など、作業中の監視体制が整っているか
・データ消去作業を行う従業員に対する情報セキュリティ教育が定期的に実施されているか
・情報持ち出しに関する明確なルールが定められ、遵守されているか
・プライバシーマークやPマークなどの個人情報保護に関する認証を取得しているか
・データ消去作業の立ち会いや、作業工程の報告を依頼できるか
これらの確認を通じて、情報漏洩のリスクを徹底的に排除できる業者を選定することが不可欠です。
データ消去証明書の発行可否
データ消去証明書は、パソコン内のデータが確実に消去されたことを公式に証明する書類です。法人の場合、コンプライアンス遵守や監査対応のために、この証明書が必須となるケースが少なくありません。
そのため、選定する業者が、データ消去証明書を発行できるかを確認しましょう。証明書には、処分したパソコンの機種名、シリアル番号、データ消去方法、消去日時、作業担当者名などが記載されているのが一般的です。これにより、万が一の情報漏洩が発生した場合でも、データ消去が適切に行われたことを客観的に証明できます。
ISMS認定の有無
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは、組織が情報セキュリティを管理するための国際規格であるISO/IEC 27001に準拠したマネジメントシステムです。ISMS認定を受けている業者は、情報セキュリティに関するリスクアセスメントから対策、運用、改善までの一連のプロセスを、国際的な基準に則って実施していることを意味します。
ISMS認定を受けている業者は、情報セキュリティに対する意識が高く、信頼性が高いと判断できます。必須ではありませんが、より高いレベルのセキュリティを求める法人にとっては、重要な選定基準の一つとなるでしょう。
サービス範囲の広さ
処分を検討しているパソコンの種類や台数、その他周辺機器の有無によって、必要なサービスは異なります。業者のサービス範囲が、自社のニーズに合致しているかを確認しましょう。
・デスクトップPC、ノートPCだけでなく、サーバー、タブレット、スマートフォンなど、多様な機器に対応しているか
・モニター、プリンター、キーボード、マウスなどの周辺機器も同時に回収・処分可能か
・訪問回収、宅配回収、持ち込みなど、複数の回収方法に対応しているか
・全国展開しているか、特定の地域に限定されているか
・見積もりが明瞭で、追加料金が発生しないか
・資産管理報告書の作成など、付加価値の高いサービスを提供しているか
これらの項目を総合的に比較検討し、自社の処分計画に最適なサービスを提供する業者を選びましょう。
まとめ
法人がパソコンを処分する際は、機密情報漏洩のリスクを避けるため、個人とは異なる厳格な対応が求められます。データ消去は、ソフトウェアだけでなく物理破壊や電磁消去を組み合わせ、徹底的に行うことが不可欠です。
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ISMS認定施設での確実なデータ消去・ソフトウェア消去を行っており、消去作業の立会いやデータ消去証明書の発行も可能です。
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